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―「水」と「朱」の神 丹生都比売神社【にうつひめじんじゃ】

高野山の麓、丹生都比売神社にまつられる丹生都比売大神(にうつひめのおおかみ)は、水と関係が深い神様。その所以は、社のある天野の里が紀の川の水源の一つであり、空海が丹生都比売大神から授けられたとされる神領が、周辺にある川のほとんどを含むものであったことなどから。丹生都比売大神は「水」の神であり、また、水を生命線とする「農耕」の神とされる。さらに、丹生という名から、水銀の原料である朱砂の採掘に関わった丹生一族と関係があり、「朱(水銀)」の神であるとも。古くから、朱には魔除けの力があるといわれ、『播磨国風土記』によると、神功皇后が朝鮮半島へ出兵した折、丹生都比売大神の託宣により武具や舟などを朱で塗ったところ、戦勝することができたと記されている。

TEL:0736-26-0102 伊都郡かつらぎ町上天野230
参拝自由

聖なる水 ~大自然と人、そして信仰をつなぐ聖なる水~

紀伊山地の豊かな降水は、山深い地に森林を育み、豊かな森が育てる水は、やがて雄大な川や滝となり、古より人々に神格化されてきました。
世界遺産「高野山」「熊野」は、これら水の持つ圧倒的なパワーとさまざまな営みが作り出した特別な世界であり、大自然と人、そして信仰をつなぐ“聖なる水”が満ちあふれる世界でもあります。

―龍と水の女神に守られる山の中の“水都” 高野山【こうやさん】

弘法大師空海は、高野山について「東西は龍の臥せるがごとくして、東流の水有り」と言い、東西に龍が横たわっていると表現した。「東流の水」とは、山内の西端にある弁天岳を源流とし、東に向かって流れる御殿川(おどがわ)のことで、まさに守り神の龍神のごとく山上一帯を潤している。また、空海は高野山開山にあたり、水の確保を第一とし、弁天岳の山頂をはじめ、水源となる7カ所に水の女神「弁財天」を勧請。今もなお、一匹の龍と7人の女神が守る高野山は「水の聖都」と言える。

総本山金剛峯寺 そうほんざんこんごうぶじ

TEL:0736-56-2011 伊都郡高野町高野山132
午前8時半~午後4時半 拝観料●500円

―水霊が静かに宿る場所 熊野本宮大社 大斎原【くまのほんぐうたいしゃ おおゆのはら】

熊野本宮大社旧社地である大斎原は、「水霊の斎(いつ)く霊地」を意味し、古くは「聖水によって清められた地」として「大湯原」と表記されたことも。また、熊野本宮大社では日照りが続いた際に雨乞いの儀式を行い、神々に祈りを捧げるということが執り行われてきた。生命の起源である水の霊が宿る大斎原は、不老不死の楽土である“蓬莱山”にも例えられ、多くの魂が集う原郷でもある。


TEL:0735-42-0009 田辺市本宮町本宮1110
午前8時〜午後5時 参拝自由

―玉のように輝く神霊が主祭神 熊野速玉大社【くまのはやたまたいしゃ】

川の参詣道・熊野川の河口に鎮座する神社で、熊野三山の一つ。主祭神は、熊野川の水勢を神格化した速玉大神(はやたまのおおかみ)で、「玉(霊)のように光り輝く生命力」を表している。御神木である樹齢千年のナギの木は、平重盛の手植えと伝わり、日本最大を誇る。ナギは「凪」と同音であることから、平穏無事の象徴でもあり、熊野詣の際、道中の安全を願い、先達(案内人)が参詣者にナギの葉を渡したとか。熊野の神は、一枚の葉にも宿っている。

TEL:0735-22-2533 新宮市新宮1
午前6時〜午後6時(季節により変動あり)
参拝自由

―古より一筋に落ちる命の水 熊野那智大社別宮 飛瀧神社【くまのなちたいしゃ べつぐう ひろうじんじゃ】

最初に那智の大滝を発見したのは神武天皇で、山の中に輝く光を見てたどり着いたとされる。滝壺には不老不死の仙薬が沈められているとの伝説から、延命長寿の霊水として信仰を集め、今も参拝者の喉を潤している。熊野信仰は、大いなる自然への畏敬の念が根源であり、生命の根源たる水の流れが絶えない那智の大滝は、まさにその象徴と言える。

TEL:0735-55-0321 東牟婁郡那智勝浦町那智山
午前6時半~午後4時半 参拝自由(御滝拝所300円)

―豊かな水を作る雨と照葉樹の森 熊野の森【くまののもり】

熊野は、水があふれる土地。例えば、那智川河口の浜辺から那智の大滝までの直線距離はわずか5km、水源まではそこから1kmにも満たない。それは、水が生まれて滝となり、川に注ぐまでわずか6kmしかないということ。これだけの短い距離で、巨大な滝と川が生み出されていることからも、いかに水が豊富であるかがわかる。それは、黒潮の影響を強く受けた、年間降雨量3,000mmを超す多雨環境と、発達した照葉樹の森によって育まれている。熊野の豊かな森からは、大地の底から沸き上がるエネルギーや霊気が感じられるはずだ。