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神秘的な雰囲気がただよう古道
大雲取越え

一つだたら

昔むかし、那智山の宝物や熊野を巡礼する旅人の路銀(所持金)をたびたび強奪する一つだたらという恐ろしい妖怪がいました。いつ襲われるかもしれないので、那智のお寺や神社には安心して人が住めないありさまでした。
困り果てた熊野三山の社寺は、「一つだたらを退治した者には褒美を出す」と高札を立てました。これを知って樫原村の狩場刑部左衛門という人が退治にでかけ、待ち伏せること七十二夜、ついに一つだたらが現れ、矢を次々放ちます。刑部左衛門は最後の矢で胸を射抜き、やっとのことで妖怪を倒しました。
約束通り、刑部左衛門は熊野三山からたっぷり褒美をもらいます。このうち、那智山から授かった三千町歩の山林は近在18ヶ村に寄付したといわれ、那智高原公園の近くにはその功績をたたえる碑が建てられています。

ダ ル

熊野の山中では、しばしばダルという妖怪(餓鬼)が現れ、空腹の旅人に取り憑くことがありました。ダルに取り憑かれた人は、一歩も歩けなくなりその場に倒れてしまいます。そんな時は、何か口にいれるか、食べるものがないときは手に「米」という字を書いてなめると助かるそうです。
ダルの憑く所は、餓死者のあった場所であるともいわれます。南方熊楠も大雲取の難所でこの妖怪に憑かれて倒れたそうです。熊楠はその後、里人の教えに従って、必ず握り飯を持って山に入るようにしたと書き記しています。