和歌山のレトロな町並みと建物を訪ねて
まるでタイムスリップしたかのような、懐かしい風景が広がる和歌山のレトロな町並み。狭い路地や古い建物が残るエリアには、心が癒やされる雰囲気が漂います。日常を離れて、のんびりと散策してみませんか。

café 葛城館|橋本市
明治期の元旅館がカフェに
絶品和スイーツを堪能
JR高野口駅前で存在感を見せる3階建ての木造建築。元は明治中期に開業した旅館「葛城館」で、現在はカフェとして営業しています。旅館として愛された当時のまま、広い玄関がお客さんを出迎え、アンティークの調度品が溶け込み、古き良き時代を感じさせる空間になっています。抹茶やほうじ茶をふんだんに使った和スイーツを堪能しましょう。
所在地:和歌山県橋本市高野口町名倉1053
TEL:0736-42-2017
営業時間:13:00〜18:00
定休日:火・水・木曜日
駐車場:あり
前田邸|橋本市
有形文化財に登録される
江戸から続く商家の邸宅
旧大和街道に面する、江戸時代から続く商家・前田家の店舗兼邸宅。「主屋」は江戸期の雰囲気をよく残す貴重な建物として評価され、「中書院」は明治中後期頃、「土蔵」は江戸時代末期から明治初期頃、「新書院」は大正5年(1916年)に完成されたとされています。 国の登録有形文化財。※現在は外観だけ見学が可能です
所在地:和歌山県橋本市高野口町名倉392
古民家カフェ 黒江ぬりもの館|海南市
漆器に盛り付けられた
心尽くしの料理を堪能
築約180年になる紀州漆器の塗り職人の工房を改装した古民家カフェ。優しい味わいの料理の数々を、美しい漆器で堪能できます。大崎漁港のひじき、和歌山市の新ショウガ、紀美野町のユズ、紀州うめどりなど、地元産の食材にこだわった多彩なメニュー。館内には、工房時代の作業台や古写真が飾られ、黒江の歴史や漆器の世界に浸ることができます。
所在地:和歌山県海南市黒江680
TEL:073-482-5321
営業時間:11:00~17:00
定休日:火・水曜日(祝日の場合は営業)
駐車場:あり
黒牛茶屋|海南市
落ち着いた雰囲気の中で
和歌山の銘酒「黒牛」を
慶応二年創業の「名手酒造店」直営。酒樽や古い道具をリメイクした温かみのある椅子やテーブルが配された、趣のある空間の茶屋です。酒類や酒かす、グッズなどが販売されているのでお土産選びができ、日本酒や梅酒などの利き酒も可能。またジュースを買い求めて、ゆっくりと休憩ができます。黒江の町の散策途中に、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
所在地:和歌山県海南市黒江846
TEL:073-482-1115
営業時間:【売店】10:00~17:00、【利き酒】10:00~16:00
定休日:【売店】年末年始、【利き酒】毎年12月
駐車場:あり
角長|有田郡湯浅町
天保十二年創業
昔ながらの手作り醤油
湯浅駅から北北西へ歩くこと約10分、国が選定した「湯浅町湯浅伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」に到着。醤油などの醸造で栄えた、昔ながらの町並みが残ります。ゆるりと散策しませんか。
ここ「角長」は、1841(天保12)年創業。機械には頼らず、冬季だけに行われる寒仕込みをかたくなに守り、昔ながらの手づくりを続ける醤油蔵です。大量生産では醸せない天然の風味は、江戸期から継続されている手法があってこそ。本店(加納家住宅)は、国指定重要文化財になっています。
所在地:和歌山県有田郡湯浅町湯浅7
TEL:0737-62-2035
営業時間:9:00~17:00
定休日:無休
甚風呂(じんぶろ)|有田郡湯浅町
江戸期創業の公衆浴場跡が
歴史民俗資料館に
創業は江戸末期と伝わる公衆浴場。1985年に営業を終了し、2009年からは「銭湯跡歴史民俗資料館」として公開されています。番台や浴室、壁に掲げられた広告などは営業時のまま保存。たき場など浴場の裏側なども見学可能です。湯浅の住民から寄贈された古民具にも目を見張ります。入場無料。
所在地:和歌山県有田郡湯浅町湯浅428
TEL:0737-20-2033
営業時間:9:30~16:30
定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
北町茶屋 いっぷく|有田郡湯浅町
築150年以上の古民家カフェ
風情ある佇まいで一服
築150年以上の古民家内にあるカフェ。年代物の白黒テレビが置かれ、オーナーが持っていた昔懐かしい絵本などが並びます。食事メニューや、おやつ(ぜんざい、パフェ)、ドリンク、夏場のかき氷が評判。散策途中に寄ってみたい、足を伸ばしてくつろげる“家”です。
所在地:和歌山県有田郡湯浅町湯浅23
TEL:0737-62-3300
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜日
旧中川邸|御坊市
洋風の応接間に繊細な格子細工など
融合した和洋の美意識を感じる
「旧中川邸」は、昭和初期に材木商として栄えた中川家が建築した邸宅で、1938年に完成。その豪壮な姿から「日高御殿」とも呼ばれていました。現在、旧中川邸は無料見学が可能で、複雑に重なる屋根や洋風の応接間、繊細な格子細工など、和洋の意匠が巧みに融合した当時の“贅”と“美意識”が堪能できます。元内閣総理大臣・東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみや・なるひこおう)や南方熊楠も逗留(とうりゅう)した近代和風住宅で、リッチで昭和チックなひとときを。また、敷地内にある倉庫を改装した「そば&Cafe なかがわ」では、風情ある空間で、「手打ち蕎麦」を中心に「天丼」や限定スイーツ「そばプリン」などがいただけます。
旧中川邸
所在地:和歌山県御坊市御坊字東中筋106
TEL:0738-23-2455
営業時間:11:00〜15:00
定休日:水曜日
駐車場:あり
入館料:無料
そば&Cafe なかがわ
所在地:和歌山県御坊市御坊105
TEL: 0738-52-7285
営業時間:11:00〜14:00
定休日:水曜日
駐車場:あり
本願寺日高別院|御坊市
御坊さんと親しみをもって呼ばれ
御坊市の名前の由来となった名刹
住宅街に静かに佇む「本願寺日高別院」は、1540年に湯川直光(なおみつ)が吉原(現美浜町)に建立した浄土真宗本願寺派の寺。豊臣秀吉の紀州攻めにより焼失し、1595年、現在地に移転しました。以来「御坊さん」と呼ばれ、御坊市の名の起こりとなったそうです。1825年に再建された本堂の他、太鼓楼や鐘楼堂などが立ち並び、広い境内には樹齢400年を超える和歌山県指定天然記念物のイチョウも。
※幼稚園が併設されているため、園児の安全のため自由見学は不可。事前に電話予約すると、本堂などへの拝観が可能です。
所在地:和歌山県御坊市御坊100
TEL:0738-22-0518
営業時間:10:00~16:00
定休日:土・日曜日、祝日
駐車場:なし(参拝者は境内に駐車可)
拝観料:無料
錦水公園(田辺城水門跡)|田辺市
紀州徳川家の威光を感じる
田辺領主・安藤帯刀の居城の水門跡
「田辺城水門跡」は、江戸時代の名残を今に伝える歴史スポット。田辺城は、1619年に徳川頼宣が紀州藩主になった際、付家老(つけがろう)であった安藤帯刀が田辺領主となり居城した館です。本来、江戸時代は一国一城制であったため、天守閣など高層櫓(やぐら)はなく“城”ではありませんが、内堀や外堀が掘られていて、立派な構えが故に幕末には「錦水城(きんすいじょう)」と呼ばれていました。水門跡は会津川河口付近にかかる田辺大橋のたもとにあり、かつては会津川への出入門として利用されていましたが、現在では石垣だけが残っています(見学可)。周辺は公園として整備され、市民の憩いの場となっています。
所在地:和歌山県田辺市上屋敷3-7
TEL:0739-26-9929(田辺観光協会)
駐車場:あり
入場料:無料
南方熊楠旧邸|田辺市
和歌山が生んだ智の巨人
熊楠の息遣いを今に伝える居宅
「南方熊楠旧邸」は、明治から昭和初期にかけて活躍した博物学者・南方熊楠が、最晩年の25年間を過ごした住まい。邸内の庭には、熊楠が新種の変形菌(粘菌)「ミナカテラ・ロンギフィラ」を発見した柿の木が今も残っています。他にも、さまざまな木々や草花が育ち、熊楠の自然への深い愛情を感じることができます。書斎や生活空間も当時の姿に復原され、研究と暮らしが一体となった熊楠の世界が広がります。隣接する「南方熊楠顕彰館」では、直筆の手紙や膨大な資料・展示物を通じて、変形菌研究やエコロジー思想など、その先駆的な業績と人物像が深く学べます。自然と学問を愛し、世界を驚かせた智の巨人の軌跡をたどる、知的な旅におすすめのスポットです。
所在地:和歌山県田辺市中屋敷町36
TEL:0739-26-9909
営業時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
休館日:月曜日、第2・4火曜日、 祝日の翌日
※2025年度は火曜日も開館(祝日の翌日は除く)
駐車場:あり
入館料:350円(高校生以下無料)
八坂神社(弁慶腰掛けの石)|田辺市
武蔵坊弁慶は田辺市生まれ?
幼い頃の豪傑が残した伝説を巡る
「田辺第一小学校」の裏手にひっそりと佇む「八坂神社」。その境内には、幼き日の武蔵坊弁慶が腰を掛けた際、あまりの重さで石がへこんだと伝わる「弁慶の腰掛け石」が残されています。弁慶といえば比叡山で修行し、京都府の五条大橋で源義経と出会い、その後は義経の忠臣として数々の戦を支えた豪傑として知られていますが、実は田辺市が生誕地とされ、数々の伝説が田辺市に息づいています。八坂神社は小さな神社ですが、弁慶の足跡をたどる歴史探訪として訪れるのもおすすめ。歴史好きには見逃せないスポットです!
所在地:和歌山県田辺市中屋敷町2
TEL:0739-26-9929(田辺観光協会)
拝観料:無料
旧チャップマン邸|新宮市
レトロモダンな雰囲気のなか
見学だけでなくワーケーションも
1926年に西村伊作の設計で建築された、アメリカの宣教師・チャップマンの居宅。 木造2階建てで、建物のほぼ中央に正面玄関とホールがあり、そこを動線の要として各部屋に入ることができるプライバシーを大事にした間取りが特徴です。リビングの南側にある、半八角形の“ベイウインドウ”もおしゃれ。伊作の自邸からも近く、チャップマンと伊作は家族ぐるみの付き合いをしていたといわれています。昭和期には増改築が行われ、一時は旅館としても使用。2019年以降、新宮市の観光交流施設として利用されていますが、現在はワーケーションとしても利用可能。2020年には国の登録有形文化財に登録されています。
所在地:和歌山県新宮市丹鶴1-3-2
TEL:0735-23-2311
営業時間:9:00~17:00(観覧)、9:00~21:00(貸館)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:あり
入館料:観覧は無料。貸館使用料は1部屋につき9:00~13:00まで1,010円、13:00~17:00まで1,010円、17:00~21:00まで1,520円 ※要予約
旧西村家住宅(西村伊作記念館)|新宮市
建築学科の学生にも大人気
大正・昭和モダンを象徴する邸宅
与謝野寛・晶子らと共に「文化学院」を創設し、自由教育を実践したことで知られる西村伊作の自邸。大正・昭和期に日本人の生活スタイル改善を目指し、伊作自らが設計し建築されました。1914年の竣工後は、与謝野晶子など多くの文化人が集うサロンとなっていたそうです。リビングにある家具もすべて伊作がデザインしたものです。他にも陶芸・油絵作品などが多数展示され、近代日本の住宅思想や文化交流の実践を伝える貴重な文化遺産です。国の重要文化財(建造物)に指定されています。
所在地:和歌山県新宮市丹鶴1-2-14
TEL:0735-22-6570
営業時間:9:00~17:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:あり
入館料:220円、小中学生 110円
史跡新宮城跡(丹鶴城公園)|新宮市
春には一面が桜色に染まる
新宮の歴史的繁栄を伝える城址公園
「新宮城」は、1618年に熊野川河口の南岸にある丹鶴山に浅野氏が築城し、後に紀州徳川家付家老の水野氏が入城。明治期に取り壊されていますが、城跡一帯が「丹鶴城公園」として整備されています。城が築かれる以前には、平安時代末期に活躍した源為義の娘・丹鶴姫の開いた東仙寺があったとも。現在は眺望の良い城跡公園として市民に親しまれ、毎年春には多くの桜が咲き、ライトアップで幻想的な景色に包まれます。国指定史跡でもあり、「続日本100名城」にも選定されています。見事な石垣が残り、歴史と自然が交錯する散策地として、旅の趣を深めてくれること間違いなし!
所在地:和歌山県新宮市丹鶴3-7688-2
TEL:0735-22-2840(新宮市観光協会)
駐車場:あり
入場料:無料