温泉は、含まれている化学成分や、温度、液性(pH)、色、匂い、味、肌触りなど様々な特徴があります。
温泉の泉質は、温泉に含まれている化学成分の種類とその含有量によって決められ、下の表のように10種類に分類することができます。
pH値
数値が低いほど酸性で、7前後が中性、値が大きくなるほどアルカリ性に。 酸性の湯は殺菌効果が高く皮膚病に良いとされているが、刺激は強め。 アルカリ性の湯は、通称美肌の湯。角質を軟化させ、肌がすべすべに。
泉温分類
冷鉱泉 25℃ 未満
低温泉 25~34℃
温 度 34℃ 以上 42℃ 未満
高温度 42℃ 以上
浸透圧分類
温泉の水分や成分が体に吸収しやすいかどうかを示すもの。
低張性
温泉の水分が体に浸透しやすいので肌がふやけやすく、その状態で肌を強くごしごしこすると肌を傷つけることにも。 しかし、湯あたりはしにくく、長時間お湯に浸かれます。
高張性
温泉の成分が体に浸透しやすいので、短時間でも温まる。ただし、湯あたりに注意が必要。
等張性
長く入浴しても疲れにくい、体にやさしいお湯。
基準
温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg未満で、湧出時の泉温が25℃以上のもの。
特徴
無色透明、無味無臭のものが多く、溶存成分の量(ガス成分を除く)が1,000㎎/㎏未満、 かつ25℃以上というマイルドで刺激の少ないお湯が特徴。 刺激がす くないので景色を眺めながら、のんびりゆったりと浸かれます。 病気療養中や術後などの体力の低下した人にはちょうどよく、古くから知られる湯治場など に多い泉質です。 また、pH8.5以上のアルカリ性単純温泉は、肌の角質を落とす美肌の湯とされ、入浴すると肌が「すべすべ」、「つるつる」とした感触があります。
泉質別適応症
浴用 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態
基準
温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg 以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオンのもの。
特徴
海水に似た食塩を含む温泉で海の近くに多い泉質です。 塩分が肌の表面を包み込むことで、水分や熱が逃げにくく、保湿性と保温性、どちらにも優れています。 美肌にも冷え性にもいい働きがあります。日本には比較的多い泉質で、塩分が主成分となっているので、 飲用すると塩辛く、塩分濃度が濃い場合やマグネシウムが多い場合は苦く感じられます。 のぼせないよう5分を目安に休憩を入れながら入浴したり、汗ばんできたらあがるなど、気にかけながらの入浴がベスト。
泉質別適応症
浴用 きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、飲用 萎縮性胃炎、便秘
基準
温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg 以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの。
特徴
美肌の湯と呼ばれることの多い泉質で、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンの温泉です。 肌の表面の皮脂を乳化させ、表面の古い角質や毛穴の汚れを落とす石鹸のような働きをしてくれます。 つるつるとした感触で、色は無色もあれば緑灰色、黒色もあります。 塩化物泉と同様の温熱効果で同じ適応症ですが、入浴後は付着した水滴の気化熱で熱が奪われ、さっぱりとします。
泉質別適応症
浴用 きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症 飲用 胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常( 糖尿病)、高尿酸血症( 痛風)
基準
温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg 以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンのもの。
特徴
武将の傷を治したなどの伝説がある温泉で、傷や動脈硬化に適応するといわれてきました。切り傷、火傷などに効くことから「傷の湯」とも呼ばれます。 陰イオンの主成分が硫酸イオンで、陽イオンの主成分により、カルシウム―硫酸塩泉(石膏泉)、ナトリウム―硫酸塩泉(芒硝泉)、 マグネシウム―硫酸塩泉(正苦味泉)の3 種類に分類されます。 なかでも、石膏泉は、皮膚の弾力性を回復し、しわを防ぐなど女性にも嬉しい泉質です。
泉質別適応症
浴用 きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 飲用 胆道系機能障害、高コレステロール血症、 便秘
基準
温泉水1kg中に遊雛炭酸(二酸化炭素)が1,000mg以上含まれているもの。
特徴
火山ガスに含まれる炭酸ガスや、石油や石炭の成分に伴って生産される炭酸ガスが地下水に溶け込むことで生成され、 入浴すると全身に炭酸の泡が付着し爽快感があるのが特徴。 シュワシュワの泡で贅沢な気分に浸れるとともに血管を拡張させることで動脈硬化症や糖尿病などにも効果的です。 飲用すると炭酸の爽やかな咽越しが楽しめ、日本では比較的少ない泉質です。
泉質別適応症
浴用 きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症 飲用 胃腸機能低下
基準
温泉水1kg中に総鉄イオン(鉄Ⅱまたは鉄Ⅲ)が20mg以上含まれているもの。 陰イオンによって炭酸水素塩型と硫酸塩型に分類される。
特徴
含鉄泉は、湧き立ては透明の湯ですが、空気に触れることで茶褐色や黄褐色、赤褐色などに色を変え、 情緒たっぷりのにごり湯になります。 含鉄泉は、鉄分が多く含まれていて、熱の伝導率が高いため、体をポカポカに温めてくれるという効果があります。 さらに、肌の引き締め効果や弾力性を高める効果も期待できるので、美肌になりたい人にもオススメの温泉です。
泉質別適応症
飲用 鉄欠乏性貧血症
基準
温泉水1kg中に水素イオンが 1mg以上含まれているもの。
特徴
酸性泉は殺菌作用に優れているので、水虫やアトピー皮膚炎など皮膚疾患に効果あると言われており、 高温で湧出量が多いのも特徴です。ヨーロッパ諸国ではほとんど見られない泉質ですが、 火山の多い日本では各地でみることができます。 肌への刺激が強いので、入浴中は肌をこすらないよう注意し、湯あがりには温泉を洗い流すのがオススメ。
泉質別適応症
浴用 アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症
基準
温泉水1kg中によう化物イオンが10mg以上含有するもの。
特徴
非火山性の温泉に多く、時間がたつと黄色く変色します。平成26年の温泉法改定により復活した泉質です。
泉質別適応症
飲用 高コレステロール血症
基準
温泉水1kg中に総硫黄が2mg以上含まれているもの。
特徴
硫黄泉はゆで玉子が腐ったような臭いがし、もっとも温泉らしく感じられる泉質です。 また、生活習慣病にも効果があるといわれています。 硫黄泉は肌への刺激が強いので、温泉の刺激に負けやすい方は、 シャワーなどのお湯で体についた温泉成分を洗い流してから上がりましょう。 硫化水素ガスは銀などを黒く変色させてしまうため、アクセサリーなどをつけて入らないよう注意してください。
泉質別適応症
浴用 アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害が加わる) 飲用 耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
基準
温泉水1kg中にラドンが30×10-10キュリー以上(8.25マッへ単位以上)含まれているもの。
特徴
自然治癒力を高め、免疫力がアップするホルミンス効果があるとされ、万病の湯ともいわれています。 「ラドン温泉」、「ラジウム温泉」とも呼ばれる温泉で、自立神経のバランスを整えたり、カラダを活性化してくれます。 ストレスを抱えてバランスが崩れているなと感じたときにおすすめしたい温泉です。 放射能泉というと怖いイメージがありますが、レントゲン等の放射線量よりずっと少ない量となっており、呼気などですぐに体外に放出されます。
泉質別適応症
浴用 高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など