熊野詣の旅人たちを癒したと伝わる、洞窟に湧く“神秘のにごり湯”で心身をほどく「ホテル浦島・忘帰洞」
本記事は、年間300湯以上めぐる温泉専門家・北出恭子さんの監修のもと、和歌山県内の名湯を独自の視点で紹介するシリーズです。北出さんが実際に県内の温泉地を巡り、泉質や健康・美容への効果を専門的な目線で解説しています。今回は、那智勝浦町にある「ホテル浦島・忘帰洞」を訪ね、その神秘的な魅力に迫ります。

熊野詣の記憶が残る地で、非日常の湯に身を委ねる
日々の忙しさから少し離れ、心と体を深くリセットしたい。そんな想いを抱く方にこそ訪れてほしいのが、和歌山県那智勝浦町にあるホテル浦島です。ホテルへのアクセスは、勝浦港からの送迎ボート。海を渡って入館するという体験が、旅の非日常感を高めてくれます。この地は、古来より熊野詣の旅人たちが行き交った「祈りと再生」のルート。ホテル浦島の洞窟温泉「忘帰洞」は、熊野三山に参詣した貴族が疲れを癒したと伝えられています。大正時代、紀州徳川家15代当主・徳川頼倫公が訪れ、“帰るのを忘れさせるほど心地よい”と称賛したことから名付けられた忘帰洞。その名の通り、現代の私たちを日常の忙しさから切り離してくれる特別な温泉です。
海と洞窟が生んだ、唯一無二の天然温泉体験
忘帰洞は、熊野灘の荒波によって削られた天然洞窟の中に湧き出る温泉。人工的に造られた空間ではなく、地球の時間が生み出した“本物の洞窟”で入浴できる、非常に希少な温泉です。洞窟の奥へ進むにつれ、波の音が反響し、光がやわらかく揺れ、まるで自然に包み込まれるような感覚に。露天側では、太平洋の荒波が岩場に打ち寄せる迫力ある景色を眺めながら湯浴みを楽しめます。
温泉家北出恭子さんが語る忘帰洞の魅力
「ホテル浦島」は館内で湯巡りができるほど多くの湯船があり、異なる泉質を入り比べられるのが嬉しい巨大温泉パークです。その中でも圧巻の迫力を誇る景色を楽しめるのが天然洞窟温泉「忘帰洞」。ここは、洞窟の中で神秘的な⼊浴体験ができる数少ない温泉です。特に先端の露天⾵呂は、太平洋の荒波が岩場に打ち寄せるダイナミックな光景や反響する波の音、波しぶきが体に降りかかるようなワイルド感が魅力です。泉質は、pH7.4で中性の「含硫黄–ナトリウム・カルシウム–塩化物泉」。硫⻩成分と塩分がたっぷりと含有された濃厚な湯です。青白色のにごり湯で、硫黄(硫化水素ガス)の香りがしっかりと感じられます。肌ざわりは、パウダーをはたいたようなサラサラとした浴感。硫⻩泉による強力な⾎⾏促進作用と塩分が肌をコーティングするため保温効果も抜群!とにかく身体の内側からポカポカに温まるため、特に寒い冬にピッタリの温泉です。
熊野詣とあわせて味わう「温泉×聖地」ルート
かつて熊野詣の旅人たちは、長旅の疲れを癒し、身を清めてから聖地へ向かいました。現代の旅においても、熊野那智大社や熊野古道を巡ったあとに忘帰洞へ浸かることで、心地よい達成感とともに、溜まった疲れをじっくりとリセットできます。入浴後は、ゆっくり休憩を取りながら体を冷やさないことが、美肌効果と疲労回復のポイントです。
こんな方におすすめ
日常から離れてゆったり過ごしたい方
冷えや疲れが慢性的に気になる方
世界遺産や熊野詣の物語に惹かれる方
- 「ここでしかできない体験」を重視したい方
まとめ|洞窟の湯で、心と体を解きほぐす
ホテル浦島・忘帰洞は、 温泉×聖地(熊野)という和歌山ならではの魅力を味わえる場所です。洞窟、海、祈り、そして神秘のにごり湯。そのすべてが揃ったこの場所なら、日々の忙しさで溜まった疲れも、心地よく解きほぐされていくはずです。次の旅は、熊野の歴史が息づく洞窟温泉で、深くリフレッシュする時間を過ごしてみませんか。
温泉家 北出恭子(おんせんか・きたできょうこ)
国内外の温泉を年間300湯以上めぐる温泉専門家。多数の温泉資格や知見を活かし、数多くのメディア出演や講演、インフルエンサーとして、温泉の魅力を世界に発信している。また、泉質の“利き湯”による分析・評価ができるスペシャリストとして、行政や温泉地自治体と連携し、温泉資源を活用したコンテンツの監修や泉質を活かした温泉地づくりのアドバイスを行う。大学講師や観光行政の委員も務めている。
本記事で紹介した温泉地・施設
- 忘帰洞
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