聖地・高野山へ鉄旅 南海高野線ぶらり途中下車

南海なんば駅から世界遺産・高野山へ通じる南海高野線。和歌山県内の橋本駅から極楽橋駅までは、急勾配を走る山岳鉄道の様相を呈しています。各駅の周辺には、この地ならではのユニークな施設やお店が徒歩圏内に。各停電車は30分~1時間の間隔で運行されており、比較的ロスなく乗り継ぐことができます。途中下車して名所を訪ねながら、高野山へ。ゆっくり移動の「鉄旅」を楽しんでみてはいかがですか。

聖地・高野山へ鉄旅 南海高野線ぶらり途中下車

橋本駅&まことちゃん像(橋本駅/橋本市)

  • 橋本駅橋上より西を見る。左がJR和歌山線、右が南海高野線
  • まことちゃん像

鉄旅のスタートは橋本駅から

かわいい「まことちゃん像」がお出迎え


橋本駅は南海電鉄とJR西日本の接続駅で、両路線の全営業列車が停車する高野山麓エリアの玄関口となる主要駅です。


駅前に設置されている「まことちゃん像」は、橋本市ゆかりの漫画家・楳図かずお氏の代表作『まことちゃん』をモチーフにしたモニュメント。ユーモラスで親しみやすい姿は、まちのシンボルとして親しまれ、写真撮影のスポットとしても人気です。

カントリーサイド(橋本駅/橋本市)

喫茶店併設のパン屋さん

こだわり抜いた素材がキラリ


橋本駅の改札口から東へ歩くこと約1分、パン屋さんと喫茶店の両方の顔を持つ「カントリーサイド」に到着します。1987年に創業し、パンがおいしいとの評判から“パン屋さん”のイメージが強いですが、コーヒーなどドリンク類も充実。焼き立てのパンを購入して、好きなドリンクと一緒に店内で楽しむのもいいですね。


おいしさの秘密は、国産小麦やオーガニック素材など厳選された良質の原材料。地元産の野菜やフルーツを使い、「できるだけ安心できる食材でパンを作りたい」との店主の思いが込められています。


所在地:和歌山県橋本市古佐田2-4-19

TEL:0736-34-1451

営業時間:9:00~19:00

定休日:日・水曜日

駐車場:あり

はしもと広域観光案内所(橋本駅/橋本市)

橋本と周辺エリアの観光情報はおまかせ

スポーツバイクのレンタルもここで


橋本駅前にある観光案内所。橋本市だけでなく、高野・九度山など近隣地域の観光やイベント情報の案内も行っています。案内所内には観光パンフレットなどが置かれ、特産品や土産物も販売。


電動アシスト付きスポーツバイクのレンタルも行い、ここを拠点に観光・グルメスポットを巡ることができます。16時までの利用が可能で、4時間以内2,000円、7時間以内3,500円。1ヵ月前から予約を受け付け、空いていれば当日の予約も可。申し込みは下記から。(料金は2025年10月現在)


所在地:和歌山県橋本市古佐田1-5-9

TEL:0736-33-3552

営業時間:9:00~17:00

定休日:水曜日、年末年始

学文路駅入場券(学文路駅/橋本市)

  • 5枚セット学文路駅入場券(900円)

受験生を応援する入場券5枚セット

特別販売会を駅で実施


「学文(問)の路に入る」との読み方ができること、「5枚入り」「入場券」「学文路駅」の頭文字を取って「ご入学」という縁起の良い語呂合わせになることから、毎年「受験のお守り」として学文路(かむろ)駅の入場券5枚セットが、2026年3月28日(土)まで販売されています。


学文路駅は無人駅なので普段は同駅での販売はありませんが、2025年11月16日(日)と12月20日(土)に、特別販売会が行われます(時間はいずれも10:00~12:00)。特別販売会で購入すれば、「学文路天満宮の絵馬入り私製はがき」がプレゼントされます。


学文路駅入場券は、南海電鉄指定駅や南海電鉄グッズオンラインショップで購入できます。

※オンラインショップでの販売は2026年3月22日(日)まで

学文路天満宮(学文路駅/橋本市)

学問の神様である菅原道真公

受験前にお参りして祈願成就を


学文路駅から徒歩約25分。「学文路天満宮」には、学問の神様である菅原道真公がまつられ、受験生や家族が多く訪れます。本殿の横には受験・病気平癒に霊験があるといわれる「撫で牛」があり、合格祈願には頭を、病気には体の悪い部分を撫でると良いとされています。


所在地:和歌山県橋本市南馬場821 

TEL:0736-32-5582

九度山駅&おむすびスタンド くど(九度山駅/九度山町)

  • イート・イン・スペース

真田父子の足跡が息づく戦国物語の玄関口

ホームで営業する「おむすびスタンド」も


戦国武将の真田昌幸・幸村が蟄居した地として知られる九度山。駅舎には真田家の家紋「六文銭」をあしらった幕が掲げられ、幸村ゆかりの地ならではの雰囲気が漂っています。


九度山駅の橋本方面行きホームにある、かまど炊きのおむすびなどを販売する「おむすびスタンド くど」。地元・九度山町産のお米を丁寧に炊き上げ、和歌山の旬の食材を合わせて握るおむすびは、炊きたて、できたてならではの格別の味わい。車内で駅弁として楽しむ人、イート・インでほおばる人、テイクアウトで九度山の散策時のお供にするなど、楽しみ方はさまざま。


ホームに隣接するイート・イン・スペースは、電車の車両をイメージした建物。電車の窓や車両連結部分の幌なども再利用された空間は、鉄道マニアにはたまらなく、どこかノスタルジーを感じさせます。


【おむすびスタンド くど】

所在地:和歌山県伊都郡九度山町九度山123-2 南海九度山駅構内

TEL:0736-20-7553

営業時間:10:00~16:00(売り切れ次第終了)※土日祝は9:00から

定休日:月・火・水曜日

真田庵(九度山駅/九度山町)

真田幸村の不屈の想いに寄せて…

14年間隠棲した屋敷跡に建つ寺院


九度山駅から徒歩約10分の場所にある「真田庵」。戦国武将の真田昌幸・幸村(信繁)父子が、関ヶ原の戦い後の配流先として過ごした場所です。昌幸はこの地で亡くなるまでの11年、幸村は大坂の陣までの14年にわたって隠棲しました。正式名称は「善名称院」。庵の敷地内には「真田宝物資料館」(有料)など幸村にゆかりのある遺構や史跡が数多く残されており、境内に立つだけで当時の息遣いが伝わってくるようで、静かな歴史ロマンに満ちた佇まいが魅力です。


所在地:和歌山県伊都郡九度山町九度山1413

TEL:0736-54-2019(九度山町観光協会)

九度山・真田ミュージアム(九度山駅/九度山町)

真田一族の波乱万丈物語を

身近に感じられるスポット


「真田庵」の北門からすぐの「九度山・真田ミュージアム」は、真田昌幸・幸村・大助の三代にわたる歩みを後世へ伝え残す施設です。館内では、真田三代の生涯をパネルや映像ドラマでわかりやすく紹介。九度山を出て大坂城へ向かい、夏の陣で壮絶な戦いに挑むまでの軌跡を、臨場感たっぷりに体感できます。


エントランスでは、甲冑姿の真田昌幸・幸村・大助がお出迎え。上田時代(長野県)、九度山での隠棲、大坂夏の陣の戦いぶりなどの展示、十勇士伝説をテーマにしたアニメシアターもあり、歴史ファンはもちろん、ファミリーでも楽しめる内容となっています。


和歌山県伊都郡九度山町九度山 1452-4

TEL:0736-54-2727

営業時間:9:00~17:00(最終入場16:30)

休館日:月・火曜日(祝日の場合は開館し、翌平日が休館)、12月29日~1月3日

料金:高校生以上 500 円、小・中学生 250 円(2025年10月現在)

ニッポニアホテル高野山 参詣鉄道(高野下駅/九度山町)

築100年の駅舎がホテルとして営業

鉄道好きでなくても貴重な宿泊体験を


1925年建造の高野下駅舎をリノベーションした「ニッポニアホテル高野山 参詣鉄道」。かつて駅係員の宿直室だった客室(4人部屋)からは、列車が走る姿を間近に望むことができます。館内には実際に使われていた鉄道パーツがインテリアとして取り入れられ、走行音やアナウンスが響くライブ感も魅力。乗務員の待機スペースだった2人部屋も。駅そのものに泊まるという、ここでしか味わえない特別な滞在をぜひ。


所在地:和歌山県伊都郡九度山町大字椎出8-1

TEL:050-1808-9157

Coffeeしらふじ(高野町/紀伊神谷駅)

秘境にポツンとある廃校カフェ

滝の湧き水を使うコーヒーに癒やされて


鉄道マニアの間では秘境駅として名高い紀伊神谷駅から、お店の案内板に従って山道を歩くこと10分少々。2008年に廃校となった高野町立白藤小学校の木造校舎が見えてきます。学校の雰囲気をそのままにリノベーションされ、2021年にカフェとしてオープンしました。


コーヒーは地元の湧き水が使用され、とてもおいしいと評判。ノスタルジックな空間で、珠玉の一杯を楽しんでみてはいかがでしょうか。


所在地:和歌山県伊都郡高野町細川471 旧高野町立白藤小学校

TEL:なし

営業時間:9:00~17:00

定休日:月~金曜 ※祝日は営業

駐車場    あり

極楽橋駅&天井絵巻(極楽橋駅/高野町)

  • 極楽橋(改札口外より)

ここが聖域と俗世の分岐点

壮麗な天井絵巻が見事に広がる


「極楽橋」は、高野山の聖域と俗世を分かつ場所といわれる象徴的な橋。


この場所にある「極楽橋駅」は、ホーム側を“俗世”、ケーブルカー側を“聖域”と見立て、そのふたつをつなぐコンコースの天井には、高野山にゆかりのある動植物を描いた壮麗な天井絵巻が広がります。テーマは「いのちのはじまり」。見上げた瞬間、その世界観に思わず引き込まれるはずです。


駅舎の外へ出れば、深い自然の中に映える赤い極楽橋が眼前に。まさに“山上の聖地”への入り口に立っていることを実感できます。


天井絵を堪能したら、いよいよ聖域へ。スイス製のケーブルカーに揺られ、高野山へと向かいます。

高野山駅&展望室(高野山駅/高野町)

高野山観光の玄関口

国の登録有形文化財に指定された駅舎


どこか懐かしい趣のある木造2階建ての駅舎。屋根は宝形屋根(一つの頂点から四方または八方に向かって同じ角度で傾斜した屋根)の頂部に宝珠をのせるなど高野の地を意識した造形で、その歴史的価値から2005年に国の登録有形文化財に指定されました。高野山開創1200年を迎えた2015年に大規模なリニューアルが行われ、丸窓や欄干風の意匠など、昭和初期の開業当時に近い外観へと整えられました。


2階にはケーブルカーや駅の成り立ちを紹介する展示コーナーのほか、橋本方面の山並みを眺められる展望室も設けられています。


駅前は南海りんかんバスのターミナル。壇上伽藍や金剛峯寺、奥之院方面へ向かうバスが発着していますので、ここから高野山の見どころへ!

【TOPICS】観光列車「天空」から「GRAN天空」へ

  • 天空(九度山駅にて)
  • GRAN天空(画像提供/南海電鉄)

新観光列車が2026年3月に運行開始

列車旅そのものが特別な感動に


南海高野線橋本駅と極楽橋駅間を走る観光列車「天空」は、2026年3月20日に定期運行を終了します。山あいの風景を見渡すことができるワンビュー座席、4人がけのコンパートメント座席、森林の外気を取り入れる展望デッキスペースなどが人気を博し、2009年7月の運行開始以来、2025年8月末までに約43万の乗客に利用されました。


「天空」は各駅停車ではありませんが(途中、学文路駅・九度山駅に停車)、定期運行が終わる前に、名観光列車の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。


2026年3月からは「GRAN(グラン)天空」が、なんば駅~極楽橋駅間を運行します。深紅をベースカラーにゴールドが基調になった外観デザイン。また、高野山に咲くシャクナゲなど、沿線にゆかりのある植物をモチーフにした装飾が散りばめられているとのことです。

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