紀州へら竿の里で「ヘラブナ釣り」を体験! 橋本市・九度山町・かつらぎ町の観光も楽しむ日帰り釣り旅

日本各地で人気があり、その繊細な釣りの組み立て方から深い釣趣もあるヘラブナ釣り。和歌山の橋本市は、へラブナ釣りで使用される伝統的な「紀州へら竿」の産地として知られ、市内にある「隠れ谷池」では、誰でもレンタル道具で気軽にへラブナ釣りを体験することができます。

紀州へら竿の里で「ヘラブナ釣り」を体験! 橋本市・九度山町・かつらぎ町の観光も楽しむ日帰り釣り旅

日本生まれの元祖ゲームフィッシング

ヘラブナ釣りは日本で生まれた元祖ゲームフィッシング。ゲームフィッシングとは食べることを目的とせず、純粋に釣りを楽しむことを目的とした釣りのことです。ヘラブナは琵琶湖原産のゲンゴロウブナの中から、特に背中が盛り上がり体高があるものを人が選んで育成しました。その後、釣りの対象魚として全国に広まった歴史があり、釣り方はウキ釣りですがアタリを出すためには多くの工夫が求められ、やってみるほど面白さに気付くという特徴があります。

良質な竹が生んだ「紀州へら竿」

和歌山の橋本市はこのヘラブナ釣りで使用される「紀州へら竿」の産地です。橋本市の周辺にはへら竿の製造に適した良質な竹材(高野竹)が自生しており、昭和初期に大阪から和竿製造の技術が伝わるのに合わせてへら竿の産地として発展しました。他の釣りと同じように、ヘラブナを釣る釣り竿も現在はカーボンが主な材料ですが、一方で道具としての美しさもある竹竿(和竿)も根強い人気があります。「紀州へら竿」はその1つであり、現在では国の伝統工芸品の認定を受けています。


隠れ谷池でヘラブナ釣りを体験!

6月中旬、県内に住む田中敦さんがやって来たのは橋本市にある「隠れ谷池」。昭和40年に紀州製竿組合が竿作りの研究池として開設したヘラブナ釣り場で、現在は貸し竿もあり誰でも利用することができます。この日は紀州へら竿職人の田中和仁(和人)さんに、初めてのヘラブナ釣りを教わることになっていました。


和人さんは竿作りに取り組む傍ら、多くの人にヘラブナ釣りに親しんでもらうため、毎週土曜日(9:00~13:00)に隠れ谷池で「はじめてのへらぶな釣り教室」を実施しています。料金は池の釣り料金・レンタル竿代・エサ代のみで指導料は無料。敦さんもこのプランに申し込んでいました。この日は特別に竿は和人さんの製作した紀州へら竿を使わせてもらいます。

ヘラブナ釣りの繊細な調整を覚える

ヘラブナ釣りは練りエサを使ったウキ釣りです。ウキは長めのメモリが付いた専用のウキ(ヘラウキ)を使い、その下にハリを2本ぶら下げる形の仕掛けを使います。ハリには練りエサを丸めて付けますが、この練りエサを「水中でほどよく溶ける硬さ」に付けるのが最初のコツです。


ハリにエサを付けたら正面に仕掛けを振り込みますが、エサは水に入った瞬間から徐々に溶け始め、粒子になって水中で拡散します。するとヘラブナが水中で拡散したエサを食べ始め、そのままハリに付いたエサをうまく口に入れさせることができると、ウキが〝ツン〟と水中に引き込まれてアタリが出ます。

もしエサを硬く付け過ぎると、水に入ってもエサがいつまでも溶けずヘラブナを近くに集められません。逆に柔らかく付け過ぎてもどんどん水に溶けてしまうためハリにエサが残らず、さらにエサが水面近くに拡散してしまうのでヘラブナが上ずってウキ釣りが成立しなくなります。まずはウキの下にぶら下がるまで水中でエサが持ち、なおかつそこからは徐々に溶けていく状態を目指します。


①「ウキの下にぶら下がったエサが徐々に溶け始める」②「集まってきたヘラブナがハリの周りの溶けたエサを食べ始め、同時に水中のエサが徐々に溶けることでウキのメモリが少しずつ上がり始める」③「メモリが少しずつ上がって来たところで〝ツン〟と入れば、水中のヘラブナがハリに残ったエサを口に入れたアタリ」。この流れを意識し、ウキの動きから常に水中の様子をイメージして釣りをします。

サオのしなりと魚の引きを満喫

釣りの流れが理解できれば、初めてのヘラブナを釣るのは決して難しくありません。はじめはエサ付けや振り込みを和人さんに教わりながら釣りをスタート。開始から1時間ほど経ったところで、徐々に「エサが持つ、仕掛けがなじむ」といったプロセスを理解できるようになり、「そろそろアタリが出るのでは?」と期待しながらウキを見つめられるようになりました。そしてついに待望のヒット。鋭く手首を返してアワセを入れると手にずっしりとヘラブナの重みが伝わります。その心地よい手応えと魚の強さを楽しみ、昼までにさらにもう一尾を釣り上げることができました。

歴史も地元グルメも楽しめる道の駅

昼過ぎまでのヘラブナ釣り体験を終え、和人さんにお礼を言って別れた敦さんが向かったのは、隠れ谷池から車で約10分にある「道の駅柿の郷くどやま」。ここは真田幸村ゆかりの地として知られる九度山町にあり、館内には真田家にまつわる展示や情報が充実していて、高野山への参詣道として栄えた九度山の文化や歴史も学べます。そして敷地内の「産直市場よってって」では、特産の柿を使った「柿の葉寿司」や甘みが凝縮した「あんぽ柿」など、素朴で滋味深い地元のグルメが楽しめます。



お土産にもぴったりの紀の川産アユや地酒

帰り道には、橋本市、九度山町と同じく高野山への参詣道として栄えた隣町のかつらぎ町にも寄り道。かつらぎ町の「川魚 あゆ島」は、目の前の紀の川で獲ったアユの炭火焼きなどを販売している川魚店。スタッフの小西孝明さんは江戸時代から続く紀州の伝統漁法「茜屋流小鷹網(投網)」を継承していて、同漁法で獲られたアユは紀州徳川家にも献上されていたと伝えられています。


あゆ島

住所:和歌山県伊都郡かつらぎ町高田20-5

TEL:0736-22-7108 

そして同じく紀州徳川家にゆかりのあるのが「川上酒」と称されたこの地域の地酒です。「お城のある和歌山市内から見て紀の川の上流にある地域で醸造される質のよい酒」が呼び名の由来になっている川上酒は、品質のよさから高野山にも献上されていて、今もその醸造を担う唯一の酒蔵が「初桜酒造」です。こちらにも立ち寄って美味しい晩酌の友を手に入れました。


ビギナーでも気軽にヘラブナ釣りを体験でき、グルメやお土産も豊富な周辺の観光もあわせて楽しめるのはこの地域ならでは。ヘラブナ釣りは一年中楽しめるので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう?

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