観光情報誌「紀州浪漫」2020年 秋号 Vol.74

わかやま日和冬に愉しむアウトドア

四季折々に表情を変える緑豊かな森、山間を流れる清らかな川、地球の躍動が感じられる大地、ときに荒々しくときに穏やかに、息をのむ美しさを見せる海。和歌山県は、自然豊かで黒潮の影響により年間を通して温暖な気候にも恵まれている。だから冬でもアウトドアで楽しめる地だ。

梅の花に一足早い春を感じるハイキング、山頂からの眺望に心洗われるトレッキング、潮騒に包まれてのんびりと海辺の町を行くサイクリング、自然にとけこむようなキャンプやグランピングなど。冬にこそ楽しみたいアウトドアを体感する旅に出かけて、日々の疲れやストレスから心と体を解放しよう。

一目百万、香り十里春を呼ぶ梅の花ハイキング

一年の中で最も寒い時期、春を呼ぶように花をつける梅。江戸時代初期から梅栽培が盛んなみなべ町は、最高級の梅といわれる「南高梅」誕生の地。町全体が梅の花に包まれる、“日本一の梅の里”だ。花が見ごろを迎える1月下旬から 月にかけて、観梅の名所「南部梅林」が開園。なだらかな山の斜面に、白い梅の花がやわらかな絨毯のように広がる様は、まさに絶景。毎年全国各地から多くの人が訪れ、甘くやさしい梅の香りとメジロやウグイスの愛らしい声に包まれながらハイキングを楽しんでいる。この時期だけに登場する「いももち」など、地元の名物を味わいながら広大な梅林をゆったりと散策し、一足早く春の気配を感じてみよう。

日高富士・真妻山を歩く水の国トレッキング

印南町と日高川町の2町にまたがる真妻山。標高は約523と低山ながら、山容の良さから別名「日高富士」とも呼ばれている。歩き始めは小川に沿ってせせらぎを聞く緩やかな道のりだが、これはいわばウォームアップ。序盤の滝や洞窟などを過ぎた後はやや難易度が上がり、時折現れる急傾斜は、ロープをたぐって登らなければならないほど。その緩急を楽しむうちにたどり着く頂上では、360度の見晴らしが目の前に。まるで空と一体化したかのような感覚を抱く景観は何よりのご褒美ビューといえる。上りと下りの道中それぞれにある滝景も趣深く、御瀧神社まで足を延ばせばまた表情の違う滝との出会いも。水音と水にまつわる絶景に心癒やされるはず。

陽光降り注ぐ海辺の町をのんびり自転車旅

熊野灘に流れ込む黒潮の影響を受け、冬でも比較的温暖な気候に恵まれる紀伊半島南部は、通年サイクリングが楽しめる人気のエリア。気軽に乗れるレンタサイクルで、海沿いを行く爽快感抜群の 旅に出掛けよう。 串本駅を出発し、橋杭岩や九龍島・鯛島など神秘的な絶景に出会い、かわいいクジラやイルカと触れ合える太地町、レトロな港町の風景が魅力の古座川河口エリアなど、バラエティー豊かなスポットを巡る欲張り旅。電動アシスト自転車なら、向かい風の中や坂道でも大きな負担を感じずにゆったりとした走りを楽しめる。車では通り過ぎてしまうところにも気軽に立ち寄れる自転車な旅ならではの醍醐味を味わいたい。

自然に癒やされる贅沢な休日グランピング&キャンプ

海・山・川、そして大空の下に身を置き、日々の緊張感が解き放たれる。冬の澄んだ空気と満点の星空。その土地ならではの旬を味わい、焚火を囲みながら気の置けない友人や家族とゆっくりと語り合う。和歌山は、冬でもアウトドアが楽しめる温暖で贅沢な場所。しかも個性的で魅力的な施設が点在する。この冬は大きく深呼吸できる旅に出かけよう。

かくれ里・天野で冬ならではの大人グランピング

世界文化遺産丹生都比売神社が鎮座する天野。標高m、穏やかな田園風景が広がる盆地で、大人のグランピングを楽しもう。魚介類や黒毛和牛、地元産のフレッシュ野菜など贅沢なラインナップの「グランプバーベキューディナー」に舌鼓。時折、テント内のソファに腰かけながら読書や歓談。暖をとりながら心行くまで自然と親しむひととき。眠りにつく時はコテージに移りゆっくりと。

満天の星空を眺めながら

星降る里と称される紀美野町。清流・貴志川沿いに建つリゾートコテージたまゆらの里は、アウトドア初心者や家族連れに人気のスポット。食材から炭まで用意されている手ぶらバーベキューか、持ち込みバーベキューのどちらかが選べ、宿泊、日帰りともにコテージの使用もできる。食器や調理器具など必要な設備も無料貸出し。館内では、肉や地元産の野菜、飲み物やアウトドアグッズまで販売する売店も。

海に浮かぶ絶景の大島で

串本町の沖合いに浮かぶ、県内最大の島・紀伊大島。南紀串本リゾート大島には、ホテルのような快適さとアウトドアの面白さを同時に体験できるグランピング施設「RayWonder」がある。焚き火台やグリルなどのグッズは、人気のアウトドアショップ優雅なアウトドア体験をプライベートを楽しむ「Orange」がセレクト。自然との一体感が味わえるオーシャンビューの露天風呂で、絶景を眺めながらゆったりとお湯に浸かり、心も体も癒やされる。