熊野古道中辺路 ロングトレイルの歩き方 5日目 熊野速玉大社〜熊野那智大社・那智山青岸渡寺・那智の滝(総歩行距離:22km)
新宮を出発すると、これまでの「山」「川」の景色と一変して「海」中心の情景へ。那智駅までの約15kmは熊野灘の潮風を感じながら歩きます。道路歩きが中心になりますが、その中でも「高野坂」は昔の古道の雰囲気が色濃く残り、古道と熊野灘のコントラストも楽しめます。那智駅に到着して、もし時間と体力に余裕があるならぜひ勝浦漁港周辺へ足を伸ばしてみてください。勝浦漁港は、生マグロの水揚げ日本一を誇る漁港。市場周辺の食事処でいただく生マグロは、もっちりとした食感と濃厚な旨味が別格です。食事後は熊野古道に戻り、いざ三山巡りの最終地・那智山へ。 俗界と聖域を分かつような大門坂の石畳を踏みしめ、杉木立の中を登り切れば、熊野那智大社・那智山青岸渡寺、そして日本一の落差を誇る那智の滝が迎えてくれます。熊野詣の最終目的地である熊野那智大社は「現在」を司る聖地。参ることで現世の縁が結ばれるとされています。本宮で未来を、速玉で過去を祈り、最後にここで、今を力強く生き抜く生命力を授かることで、熊野三山の巡礼は成就します。最後に 滝の轟音を全身に浴びて魂を震わせ、明日から始まる「本宮への帰還」という新たな旅路に向け、精神を整えこの日の終わりを迎えましょう。
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- 春
- 夏
- 秋
- 冬
- 所要時間
- 1日
- 移動手段
- 徒歩

阿須賀神社
熊野川河口近くにある蓬莱山南側の麓に鎮座する古社で、祭神は事解男命(ことさかのおのみこと)です。古くから熊野三山の神を祀り、平安時代から「阿須賀王子」とされました。境内からは弥生時代の竪穴住居跡や祭祀用具も見つかっています。
- 住所
- 新宮市阿須賀1-2-25
- 電話番号
- 0735-22-3986
浜王子(王子神社)
熊野速玉大社から熊野那智大社までの間には五つの王子社の存在が伝えられており、その内の2社が新宮市内に残っています。
その内の一つ、浜王子は、建仁元年(1201年)の『熊野御幸記(くまのごこうき)』にはその名前は記されていないのですが、「此道又王子数多御座」とあり、その頃には既に存在したと考えられています。
高野坂登り口
Column
高野坂
熊野速玉大社から熊野那智大社へ巡拝する人たちが通った中辺路ルートの一部。
熊野九十九王子のひとつ浜王子をお参りし、熊野灘の絶景を眺めながら王子ヶ浜をしばらく行くと、高野坂登り口に到着します。
約1.5kmの短い行程の中に、苔むした石畳道や木々の間から見える大海原、この地がかつて鯨漁で栄えた名残の鯨山見跡など、たくさんの見どころが凝縮されています。

高野坂降り口
苔むした石畳道を下り終え、少し歩くと高野坂の降り口に到着します。
佐野王子
『熊野御幸記』には王子名が記されていませんが、その頃には既にあったと考えられています。王子橋の下を流れる王子川は祓(はらい)川とも呼ばれ、この川に祓所があって熊野詣の人々が心身を清めて那智山に向かったので、この別名が付けられたといいます。
小狗子峠
熊野速玉大社から熊野那智大社へ向かう海岸沿いの経路上、山塊の谷間にある切り通しの区画で、近世の石畳が一部遺存する峠です。
大狗子峠
「狗子」とはクジラという意味。かつてこの地に捕鯨の見張り場が峠にあった名残りとされています。
浜の宮王子(熊野三所大神社)
浜の宮王子は熊野三所大神社(くまのさんしょおおみわやしろ)とも呼ばれています。
補陀洛山寺と隣接しており、神仏習合の名残を見る事ができます。
かつては目の前が那智の浜であった為「渚の宮」とも呼ばれていて、熊野三山に詣でる巡礼者は、ここで潮垢離をし、身を清めてから那智山へ向かったといわれています。
Column
余裕があれば勝浦漁港周辺でマグロを食べましょう
勝浦漁港は生マグロの水揚げ高が日本一の漁港。浜の宮王子から3km弱の距離にあります。
漁港周辺には冷凍されていない生マグロを提供するお店がたくさんあり、他では食べられない絶品のマグロをぜひお召し上がりください。
なお、このエリアは和歌山県内でも有数の温泉地ですので、ゆっくり観光も兼ねてここで1泊するのもお勧めです。

補陀洛山寺
壮絶な修行の出発点であった世界遺産の寺
熊野三所大神社(浜の宮王子)に隣接する那智山青岸渡寺の別院、神仏習合の名残を感じさせる古刹です。世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産であり、御本尊の千手観音は国の重要文化財に指定されています。
かつては寺の目の前が浜辺で、貞観十年(868年)からおよそ千年に渡り、僧が南海のかなたにあるとされる観音浄土・補陀落山(ふだらくさん)を目指して船出する捨て身の修行「補陀落渡海(ふだらくとかい)」の出発点でした。僅かな食糧を積み込み、扉を外から釘で打ち塞いだ船で航海に出たといわれています。
境内には当時の復元船が展示されている他、那智の浜から船出したと伝えられる僧達の名前が刻まれた石碑もあります。壮絶な信仰の歴史に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
- 住所
- 東牟婁郡那智勝浦町浜ノ宮348
- 電話番号
- 0735-52-2523
- 営業時間
- 8:30~16:00
市野々王子
現在、市野々王子跡は市野々王子神社とされており、杉木立に囲まれて社殿が鎮座しています。熊野九十九王子の最後から2番目の王子で、那智参詣者を相手にした「市」が立ったことから、この名がついたといわれています。
大門坂入口
古来より、多くの参詣者たちを受け入れてきた熊野古道。大門坂は、その面影をもっとも色濃く今に残している場所です。
全長約500m、高低差約100mの苔むした石畳道と樹齢800年を超す老杉等に囲まれた古道では、古の関所跡や霊場への入り口といわれた「振ヶ瀬橋(ふりがせばし)」や夫婦杉などがつぎつぎと姿をみせます。
多富気王子(たふけおうじ)
大門坂の夫婦杉を過ぎて少し行ったところにある、熊野古道中辺路にある最後の王子社です。
商店通り
267段の大門坂を上りきると、ほどなくして車道に出ます。車道沿いには、飲食店やお土産屋さんなど疲れを癒すスポットがたくさんあります。
熊野那智大社
朱塗りの社殿が美しい熊野信仰の中心地
熊野速玉大社・熊野本宮大社とともに熊野三山と呼ばれています。ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』にも登録されており、御本殿等は国指定重要文化財となっています。古くから熊野の神々は那智の滝本にお祀りされていましたが、山の中腹に社殿をつくり、熊野の神々と滝の神様をお迎えしたことから始まる神社です。
創建より1700年ほどの歴史があるこの場所は、落ち着いた雰囲気の中で深い精神性と日本の自然を体感したい方にぴったり。四季折々の自然を感じながら463段の石段を登ると、朱塗りの社殿が6棟あり、その落ち着いた美しさに心が洗われます。
社殿には、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ、イザナミノミコト)を主祭神として、それぞれに神様が祀られています。結びの神様である熊野夫須美大神を主祭神としてお祀りしていることから、熊野那智大社を結びの宮として信仰し、人の縁や諸々の願いを結ぶとして崇められています。また、境内にある御縣彦社(みあがたひこしゃ)では、熊野の神様のお使いであり、より良い方向へ導く「お導きの神様」とされる三本足の烏「八咫烏(やたがらす)」が祀られています。
3月末から4月初め、桜の季節の熊野那智大社は必見!上品で優雅な姿を見せる枝垂桜が訪れる人々を迎え入れ、古き良き日本の情緒を感じることができます。石段の登りが心配な方でも、車やバスを利用して気軽に訪れることができるため、どなたでも神社の静かで穏やかなひとときを堪能することができます。
- 住所
- 東牟婁郡那智勝浦町那智山1
- 電話番号
- 0735-55-0321
那智山青岸渡寺
那智の滝と三重塔の絶景を堪能!世界遺産の熊野信仰の中心地
⽇本最古の巡礼路である西国三十三所観音霊場の第一番札所として知られる那智山青岸渡寺は、熊野那智大社とともに神仏習合の霊場として栄えた天台宗の寺院です。2004年には世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産に指定され、見どころも多岐にわたります。
天正18年(1590年)に豊臣秀吉が再建した本堂(如意輪堂)は、天然木の質感を活かした「素木造り」で、当時の建築技術を色濃く残しています。堂内にある日本一の大鰐口は秀吉が寄進したものです。
本堂の後方からの景色は、名瀑・那智の滝と朱塗りの三重塔の美しい調和が楽しめる絶好のフォトスポット。また、塔の上層階からは那智の滝や太平洋の広大な景色を望むことができます。
- 住所
- 東牟婁郡那智勝浦町那智山8
- 電話番号
- 0735-55-0001
- 営業時間
- 7:00~16:30
那智の滝
迫力満点!日本三名瀑のひとつ
熊野那智大社の別宮である飛瀧神社の御神体として崇められている那智の滝。「一の瀧」とも呼ばれ、上流にある「二の瀧」「三の瀧」と合わせて「那智大滝」と総称されます。この滝は国の名勝に指定されており、日本三名瀑の一つでもあります。落差133mの滝の流れは迫力があり、毎秒約1トンの水量が落下しています。那智山の奥山、大雲取山から流れ落ちる水しぶきが周囲を白く彩り、壮大な景色を生み出します。
滝の幅は13mで、流れ落ちる水は三筋に分かれているため「三筋の滝」と呼ばれることもあります。滝を真正面から拝観できる観覧舞台、御滝拝所舞台からはまるで滝と一体になれるような距離で名瀑の迫力を肌で感じることができます。また、滝つぼの水は延命長寿の水とも伝えられており、口に含めばその清らかさが旅の疲れを癒やしてくれそうです。
自然が織り成す美しく力強い光景をぜひご覧ください。
- 住所
- 東牟婁郡那智勝浦町那智山
- 電話番号
- 0735-55-0321
本日の宿泊
2026年現在、那智山で宿泊を提供しているお宿は「美滝山荘」1件のみになります。ご予約にご注意ください。


























