熊野古道中辺路 ロングトレイルの歩き方 6日目 那智山青岸渡寺〜小口(総歩行距離:14.5km)
那智の滝に見送られるように出発し、目指すは深い緑と清流に囲まれた隠れ里・小口(こぐち)。この区間は「大雲取越」と呼ばれ、その名が表すとおり、道中は雲の中を行くがごとき険しい山に分け入り、厳しい坂道を越える、熊野古道中辺路の中でも最難関とも言われているルートです。ただしその分歩きごたえがあるとともに、色濃く残る古道の雰囲気や、峠から望む美しい眺望など熊野古道随一の景観美を楽しむことができます。
スタート地点の那智山青岸渡寺から約4.5km先の船見茶屋跡までは登り基調の道が、そこからはアップダウンを繰り返し、約5.3km先の越前峠へ。越前峠からは、一気に下り道となり、約5kmの距離の間に800m以上を下る急こう配の道が続きます。そしてその長い下り坂を降り立った先が本日のゴール・小口です。山々に囲まれた小さく静かな集落に到着した瞬間、張り詰めていた緊張がふっと解けるのを感じるでしょう。地元の商店に立ち寄れば、店の方との何気ない会話や笑顔が、疲れ切った心身にじんわりと染み渡ります。
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- 春
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- 冬
- 所要時間
- 1日
- 移動手段
- 徒歩

那智高原公園
那智山青岸渡寺から約200m登ったところにある森林公園です。今は運営されていませんが、トイレが整備されており一息つくことが可能です。
登立茶屋跡
大雲取越の中で最も那智に近かった茶屋です。当時この茶屋は市場としての役割も担っており、那智の漁村に暮らす人々と内陸部にある田辺の人々との交易の場でもあったといいます。
ここから先は一気にこのコース随一の眺めを誇る舟見峠へと登り詰めます。
舟見茶屋跡
舟見峠にさしかかる場所にあり、『西国三十三所名所図会』にも登場する茶屋跡。舟見峠は、大雲取越の中で一番標高の高い峠です。東屋が整備された休憩所からは、左手眼下に熊野灘、右手に妙法山、那智高原、那智勝浦町を一望できます。
本宮地域から大雲取越を通って熊野那智大社に向かう参詣者にとっては、ここは最初に目的地の那智の姿を遠望できる場所でした。また、本宮に戻る人々にとっては、振り返って那智に最後の別れを告げる場所でした。いずれの方々も参詣者たちはこの茶屋で足を止め休憩し、大パノラマの景色を楽しんだといいます。
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亡者の出会い(もうじゃのであい)
船見茶屋跡から色川辻までの間には「亡者の出会い」と呼ばれるおどろおどろしい通りがあります。伝説によると、この道を歩いていると、向かい側からやってくる亡くなった友人や肉親に出会うことがあると伝えられています。
熊野は古来から死後の世界と深く関連があるとされていて、「日本書紀」によると、熊野はイザナミノミコトという神が埋葬された場所であり、その夫であるイザナギノミコトが彼女を追って亡者が住む黄泉の国へ向かった場所でもあると伝えられています。
この場所で人に出会った巡礼者が、出会ったときにはその人は既に亡くなっていたことを家に帰ってから知ったという逸話も残されています。

地蔵茶屋跡
大雲取越のちょうど中間地点に位置しており、茶屋は1921年まで運営されていたとのことです。地蔵茶屋の名前は、近くにある地蔵堂にちなんでつけられました。
なお、トイレについては冬季凍結のため12月末から翌年3月上旬まで利用できないので注意ください。
石倉峠
越前峠
越前峠は標高850mの高さにあり、ここから「楠の久保旅籠跡」までは急坂に石畳が点在する「胴切坂」という大雲取越・小雲取越の中の最大の難所となっています。なお、ゴール地点の小口の標高は約65mですので、小口までの約5kmの距離の間で800mも下ることになります。
楠の久保旅籠跡(くすのくぼはたごあと)
約1.5kmの区間に数ヶ所の屋敷跡が見られ、江戸時代には数十軒の旅籠(はたご)があり大変にぎわったといいます。北に見える小雲取越の茶屋を指さして「あそこまで宿がないから今日はここで泊まるように」と客引きしていたとの話も残っています。旅籠は大正時代まで営業されていたとのことです。
円座石(わろうだいし)
熊野三山の神々が車座になって酒を酌み交わし、笑談した岩といわれる円座石。円座とは藁やいぐさで編んだ丸い敷物をいう方言で神職が用いる座布団を指し、石がそれに似ていることからこの名がつけられました。岩には3つの梵字が彫られており、その梵字は熊野三所権現が円形に座って談笑する図が表現され、向かって右から阿弥陀如来(本宮)・薬師如来(速玉)・観音菩薩(那智)といわれています。
大雲取登り口
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南方商店
大雲取登り口のすぐ近くにある商店です。
7時~18時で開いており、基本的には年中無休(不定休)で食料品や飲み物の他、衣料品なども販売しており、大雲取越・小雲取越を踏破する方にとっての非常に頼もしい補給ポイントとなっています。

本日の宿泊
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